初衝の瞬間 しょしょうのしゅんかん



味方

ココはそんな事、気にしなくていい国なんだよ?

どうして、皆、笑い合えないの?


映し出される映像は
アークエンジェルの不利、
2体の新型MSを相手に押されているフリーダム
ダガーとの戦闘をしているストライクを始めとするM1

見ているだけで感じ取れる采配の結果を否定する様に睨み付け、
今しがた戦場へと出て行ったバスターへと救いの気持ちを求める。

そんなの願いと叶えるかのようにバスターは
脇に挟み込む様に、超高インパルス長射程ライフルを構えると
アークエンジェルの後方から迫ってたミサイルを打ち落とし
援護を買って出た。

『とっととそこから下がれよ!アークエンジェル!』

スピーカーから聞こえてくるディアッカの叫ぶ声が聞こえ
睨みつけていた視線と態度を、思いを緩め
体の奥底に重たい息を落すが、一瞬だけの好機に
再び怒りをぶつける様にモニターを睨み、
バスターの援護を受け後退し、なんとか体制を立て直すアークエンジェルが
メインモニターに映し出される。
が、じわじわとオノコロ上空へと近づき、海上ではオーブ艦が、
激流となる海水に飲み込まれる様に沈んでいく。

この瞬間にでも無くなっていく多くのモノの重さに
目を逸らし、心を閉じ、逃げ出したくなる・・・

でも・・・

居なくなってしまったモノの思いと気持ちを受け継ぎ
剣を銃を手に持ち戦場を駆け回りたくなる・・・

残された者の生き方はダレかが指示するのではない。
自分で汲み取り判断して動くのだ。

どちらを選び取る・・・

ここで止める?

それとも

繰り返す?

『戦争とは連鎖なのだ』
フッとウズミの言葉が思い出され、自分の思いに新たなモノが加わる。

繰り返す、すなわち、連鎖

剣や銃を持ち戦場を駆ければ、今の自分と同じ事を考え、
同じ事で悩み、同じ動きをする人が出てくる。
この繰り返しがある以上、戦いは終わらない・・・

どこかで断ち切るしかない

では、どこで切る?

自分に問いかけられた。

私は・・・・

倒れてゆくM1
オノコロ上空近くで、戦うフリーダム
連合のダガーを倒していくストライク
体勢を立て直し戦場を駆けるアークエンジェル
意志を見せ援護をしてくれているバスター

映し出される画像を見ながら、
自分が出した問いかけに答えを考える。

考えるまでもない・・・わたしは・・・・・・・

断ち切る

違う・・断ち切りたい

断ち切らなければ失う・・

そんな事はイヤ!

誰一人居なくならないで欲しい。
この願いを叶える

その為になら、なんでもする!!

今の様に守る戦いもする。
武器を持ち、無くさせてしまう、狩ってしまう道具となる武器を壊す。
戦場に立ちたいと思わなくなる様に、

生きて欲しい・・

生きて帰ってきて欲しいと、願いのかけられている人を
願いをかけた人の元へと返す。

『では、武器だけを壊し、人は生かすのですか?』

自分への問いかけが聞こえる

『繰り返していては、終りはないでしょ?』

そんな問いかけに自分の答えを返す。

が、

『人だけ生かす戦い・・・難しいですね。
 相手はそういうコトをせず戦意を見せてきますよ?
 できますか?』

「私、独りでは無理かもしれない・・・
 でも、そうじゃないて思うの」

話せば解ってもらえる

『そう思うのは私の・・・
 である私の甘さかなぁ?』

モニターから映し出されている画像を見ながら
意識は闇であり闇ではない場所へと移動しており
緋色の着物を纏うトモエと向かいあっていた。

『ふふふ、そうかもしれません。
 でも、私もその甘さを信じてみたいです』

着物の裾から見えている指で口元を隠し笑うと
も微笑み頷くが

「フリーダム、なおもオノコロ島上空へ接近!!」

叫ぶ声に、意識を闇から戻すと
目から入ってくる情報、耳から入ってくる叫び声の報告に
見ていなかった部分の情報を頭の中で組み立ててるが
オノコロ島上空付近で2体の新機種MSとの戦いをしてるフリーダムは押され始め
対抗を見せ、カーキ色のMSにビームライフルを打つものの、
打撃を与える事無くビームライフルは方向違いの場所へと向いていった。

「なんなんだ、アレは・・・・」

誰とも解らない呟きが耳に届く

陸上からフリーダムを狙うビーム砲が放たれ、
上空にいる2体のMSに集中し、陸上にいるMSの存在を忘れていたのか
一瞬フリーダムの動きが止まるもののすんでの所でかわすが、
その隙を突いて、黒いMSからの破砕球の攻撃を受け落下していった。

『お兄ちゃん!!』

海へと落下してゆくフリーダムが映し出されると
目を見開き、悲鳴と共に名前を叫びそうになるものの
何とか状態を取り戻したフリーダムを見え、
胸部分の服を握り耐えるが、
カーキ色のMSからのビームは正確にフリーダムを捉え
直撃することが瞬時に判断できた。

『お兄ちゃん!!
 ダレか・・・誰かお兄ちゃんを助けて!
 お願い・・・』

あっちゃん!!

かけられていた筈のペンダントを掴む様に
服を握り締め、ココには居ない大切な人へと願うと
もうすぐ当たるであろうビーム砲とフリーダムの動きがスローモーションの様に
ゆっくりと見え、目に焼きつき出すが、それを拒否しようと目を閉じた。

『おにいちゃん!!』

目を閉じ、握る締める服を更に力を込め祈り
報告される声を待つが、いっこうに聞こえず恐る恐る瞼を持ち上げ
横に立っているへと視線を向けるが、
の視線にも気付かす驚きの表情を見せながらモニターを見つめており
他の者達も口を開けたまま驚きの表情を見せているのを不思議に思い
モニターへと視線を移すと、赤いMSが映し出されており
その後ろにキラの操縦するフリーダムが庇われる様に映し出されていた。

「なに?
 どうなっているの?」

訳も解らないの答えを求める言葉が呟かれると
驚きの表情を見せていたの元へ届いたのか
いち早く意識を戻しの問いに答えた。

「フリーダムにビーム砲が接触する直前に、
 映し出されているMSが中に入り込みシールドで防ぎ
 フリーダムを背後に庇いました」

「庇った?」

映し出されている、赤いMSはの説明どうり
庇うようにフリーダムの前に立ちはだかっていた。

フリーダムを庇うと言う事は連合のMSではない。
だからと言ってもザフトのMSだとしても
支援・援護は無用と返したオーブにMSを出してくるだろうか?

いや、無い

なぜなら、オーブを攻撃している今
ザフトにとって連合を攻撃する好機なのだから・・・

少しでも戦力が欠けている今、この時をザフトは見逃すはずはない。

だったら、あの赤いMSはドコのダレ?

の中で疑問と考えが交差していると
フリーダムを庇っていた赤いMSに黒い機体が攻撃を仕掛けられるが
すぐさま両腰に装備されていたビームサーベルを取り出し繋げると反撃すると
同様に赤いMS狙っていたカーキ色のMSにはフリーダムもビームサーベルで反撃をした。

「いったいドコのMSなんだ・・・」

混ざり合った数人の言葉は違うにも意味は同じで
誰もが乱入してきた赤いMSが気になっていた。

「該当する機体はありません!」

無いと解っていても、規則に沿ってデーターベースで検索をかけたのか
報告される声に

「解りました。
 では、このMSもデーター採取をして下さい」

混乱しだした雰囲気を断ち切るように、
判断を下したの言葉に従い手を動かし、目で確認しだす。

「トモエ様・・・・」

「ザフトではないと私は思います。
 さんはドウ思われますか?」

モニターからへと写されたの視線を受けた
の目を見返し

「その様に思います。
 しかし、このまま解らないMSをこの戦闘に置く事は・・・・」

語尾を濁しへと返すと

「だからと言って、
 出て行けと言っても素直に出て行くでしょうか?」
 
濁された語尾はどの様に続けられるか解り
自分の考えをに返すが、無言で返され
は言葉を続けた。

「攻撃を受けかけたフリーダムを庇ったと言う事は、
 向こうにも考えがあっての事だと思うのです。
 パイロットの話を聞いてからの判断でも遅くないと思います」

どうでしょうか?

言葉での考えと目で問われ


「トモエ様の判断に従います」

向けられた視線を外す事無く言葉での答えと是と言う頷きで答えを返し、
の良かったと零す声を聞くと、視線をモニターに移し、
問題とされた赤いMSとフリーダムを重点的に見ながら
アークエンジェルや護衛艦、地上戦を行っているM1・ストライクの動きも把握する為に
視線を彷徨わせた。

まったく乱れの無い動き

お互いがどう考え、どの様に動くか解っているのか、
繰り出される攻撃に乱れが無い。

まるで打ち合せしていたかの様に動くMS

の動きに釣られる様にもモニターに視線を移すと
驚く様な事が映し出されていた。

フリーダムの操縦者は自分が兄と慕っているキラ

その、キラと打ち合せも無く相手の動きが
手に取る様に解るかのごとく動く赤いMSの操縦者は・・・

まさか・・・・・・

でも・・・・・・

・・・・・違う、あっちゃん・・
アスラン・ザラはプラントに居てザフト兵で・・・・

こんな・・・ザフトに価値の無い戦いに来る筈ない・・・

思い浮かぶ姿は、ハウメアの守り石を首に下げ憔悴しきったアスランの姿

そんな彼が来てくれるハズ・・・

『じゃあ、アレはダレ?』

頭の中に問いかけが渦巻く

キラと息の合わせた動きが出来る人物は唯1人・・・・

答えは解っている・・・
の名を貰い一緒に過ごして、
キラが気遣いや困った様に笑う事がなかった時に居た人物

只1人

どれだけ、同じ疑問を考え答えまで行き着く瞬間
また、振り出しのように同じ疑問に帰る。

螺旋階段の様・・・

くるくるまわる・・・

写される画像を眺め、意識を考えに集めていると
閃光弾が打たれ、今まで打ち合いをしていたストライクダガーが
M1に背を向け、連合の母艦へ帰っていった。

「撤退?
 この状況で?」

理由が解らず、疑問を口に出すが

「連合のMSがストライクと同じ構造をしているのなら、
 撤退した理由は解りますが・・・」

冷静にモニターを見つめていたはずの
の言葉にもかすかな疑問が感じられ、
ソレほどまで異例な動きだったのだと改めて思うが

「ストライクと同じ構造・・・
 では、撤退理由はエネルギー切れと言う事になりますよね」

からの言葉を逃さず聴き、
自分なりに出した答えを言うと頷かれ、の視線が合った。

「はい。
 ですが確定と言うまでは行きません」

「確定を出す程のデータが集まっていない」

「そうです。
 ですから、先程取ったデータを分析し答えを出すのです」

「連合の考えは解りませんが、
 この撤退を好機にしなければならない・・・」

向き合い、視線を合わせての会話を済ますと

「先ほどのデータをエリカ・シモンズへ転送して下さい。
 早急に解析する様にと。
 そして、無事だった者の確認、および救護班の派遣を!」

の指示に、戦闘時よりも忙しそうに動き出し、
お互い、指示を出し合い指示をスムーズに運ばせる。

そんな中、映し出されているモニターの1つに
フリーダムと赤いMSがオーブの地に降り立つ画像が流れた。

騒がしい司令室内に、食い入るようにモニターを見つめている
に気付き、

「拡大してくれ」

がオペレーターへと指示を出す。

写されるのは、歩み寄る2人

連合のパイロットスーツに身を包んだキラ

ザフトのエースパイロットのみが袖を通す事が許された
赤色のスーツに身を包んだ藍色の髪の青年

限界までアップにされたモニターだが、
身に着けている服や髪の色が解る程度で輪郭までハッキリせず、
目を凝らしモニターを見続ける。

先ほどまでドコのダレだか解らなかった青年は
ザフトのエースパイロット

ザフトの支援は断った。
なぜ、彼がここに・・・・

答えが出ない疑問が浮かぶ

立場上、首を捻るという事は出来ない。
自分の中で答えを出すしかない。

重い息を体の奥底に落とし、
横で瞬きも忘れているかのように見つめている
視線を移すと、驚きと喜びの表情をしているが
目は困惑を映し出した。

「あっ・・」

視線をモニターから外さず、零れ落ちた声に
は再びモニターを見ると、
白の服に金色の髪を持った人物が中心に映し出されていた。

あの服に髪はカガリか・・・
相変わらず、自分の立場を解っていないな・・・

呆れ気味にモニターを見ているに気付かず
は、感じ取れる雰囲気で詰めていた息を吐いき、
を見上げると、の視線に気が付いたのか見下ろされ、
視線を合わせると、頷き合い、
M1の収容指示を出し、アークエンジェルの受け入れ態勢を整え入港を待った。

金属の削る音、轟音のモーター音、指示を出す怒鳴り声

作業状況の確認および報告を聞きに、格納庫へ下りていく。
が、下には下りず上か見続けた。

「うん・・・大変だということはわかっている・・・」

見下ろして、視界に入る2人の少年
周りを囲む様に、アークエンジェルのクルー、学生兵が見守り
バスターから下りたディアッカの姿もあり、
カガリが飲み物を手に、走っている姿も見れた。

お兄ちゃん・・
あっちゃん・・・・

2人の間に空いた隙間があるのも見え、
自然と2人の距離が解った。

お互い譲れないモノがある。

ソレを守るための距離

そんな距離がもどかしく感じ、睨む様に見ていると
カガリから受け取った飲み物を口に運びながら、話は続く。

戸惑いの声
諭すような、ゆっくりとした言葉

俯き、辛そうな表情を見せるアスラン
真剣な表情を見せるキラ

「俺は・・・・・お前を殺そうとした・・・・・」

「ぼくもさ、アスラン・・・・」

聞こえてくる言葉に、目を瞑り、強く握り拳を作る。

真っ暗な視界に浮かぶのは、ストライクとイージスの戦闘
お互い憎悪を見せた戦闘
思い出すだけでも、背中に冷たい汗が伝う。

「戦わないですむ世界ならいい・・・」

何かを思い出しているのか、遠くを見ながらキラは言葉を続ける。

「そんな世界にずっといられたなら・・・・」

耳に届く言葉は、という名であった昔を思い出した。

無邪気に笑う
楽しそうに笑うキラ
苦笑しながらも、どこか楽しそうなアスラン

楽しい、嬉しい事が溢れていた、昔

身震いする記憶から暖かな記憶が思い出され、
目を開け、キラとアスランを見れば、
2人も何か思い出しているのか無言だった。

「でも・・・戦争はどんどん広がろうとするばかりで・・・・・」

辛そうな声で作られた言葉に、現実に帰らされ
何もない空間を睨み、怒りをぶつけた。

どうして、こんな事になってしまったの?

どうして・・
どうして親友同士が戦う事になってしまったの?

戦争の始まりはドコからだったのだろう・・・
ユニウスヘブンの時から?

それとも・・・もっと前から?

悲鳴を上げ、逃げ纏う人
銃が連射される音
何かを叫び散らす男の声の人

立っていた人が見えなくなり
赤色だけが鮮明に色づいていた。

逃げて!
早く逃げて!
じゃないと貴方達も!!
私なんてどうでもいいから!
お願い、貴方達だけでも逃げて!!

私ナンテドウデモイイカラ!

瞬時に思い出された記憶に、
握ってたままの拳に更に力を込め、
苦虫を噛み潰した様な表情をみせる。

「ぼくが撃つよ」

決意のこもったキラの声に我に返り、
何もない空間からキラへと視線を返ると、
真剣な表情をし、まっすぐアスランを見ている態度に
キラの決意の重さが解った。

こうと決めたら最後までやり遂げる
キラの性格を思い出し、嬉しくなる。

かわっていても、芯は一緒なんだ

自分の知るキラが見れ、嬉しさが込み上げてくる中

「あんた、聞いてなかったの!?
 キラの言ったこと!」

涙声の声が聞こえ、
キラから視線を移せば、涙目で睨んでいる少女
その少女の視線の先には戸惑うディアッカがいた。

少女の表情に出会った頃の笑みは無かった。
彼女もまたかわった人の1人

慌て、走り去る少女を追いかけるデェアッカ

昔と変わらない人もいる

キラの様にかわった人もいれば
ディアッカの様にかわらない人もいる

そして、
悩み、苦しみ、もがき苦しんで変わろうとするアスラン

自分はかわったのだろうか?
それとも昔のまま?

フリーダムのコクピットへと上がっていくキラを見
考え苦しんでいるアスランを見
キラ、アスランの元に居るカガリを見
の横に居るを見る

でありトモエである自分

じっとを見ていると、手に暖かさを感じ

「これ以上、力を加えると皮膚か切れてしまいますよ」

色が変わり固まっていた手をが、
ゆっくりと解き、無言のまま爪後のついた掌を見つめる。

互い無言のままで居る

「ココは大丈夫でしょうから、
 ウズミ様の元へ参りませんか」

の言葉にの視線は掌から目へと移り、
すぐさま下へと移した。

「カガリが付いているみたいですし、
 そろそろウズミ様がお戻りになられる頃だと・・」

の視線の意味を感じ取ったの言葉に
是と答えを返し格納庫に背を向け、本部となっている部屋へと向かった。





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              第19話
                      長い事書けませんでした・・
                      とこで切れば良いのか解らなくて・・・また、長い・・・・

                                                             2004 3 3